Babyagi の紹介: AI 駆動のタスク管理システム
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BabyAGI (opens in a new tab) は、OpenAI の GPT-4、LangChain、Pinecone のようなベクトルデータベースを組み合わせて、一連のタスクを自動で実行・管理するインテリジェントなタスク管理および問題解決ツールです。高レベルな 1 つの objective(目標) からスタートし、BabyAGI は GPT-4 を使ってタスクを生成・実行し、その結果をベクトルストアに保存して、以後の意思決定のコンテキストとして再利用できるようにします。
このプロセスを繰り返すことで、BabyAGI はユーザーの代わりに継続的に問題へ取り組み、新しい関連タスクを提案し続けます。これにより、実行の細部を AI エージェントに任せて、あなた自身はより高次のゴールや制約に集中できるようになります。ベクトルデータベースを使うことで、過去の結果がタスクループ全体にわたって検索・再利用可能な形で保持される点も特徴です。
⚠️ 重要: BabyAGI はあくまで実験的なプロジェクトであり、本番運用向けフレームワークではありません。学習・プロトタイピング・自律エージェントの探究用として利用するのが適しており、ビジネス上のクリティカルなワークフローを直接任せるべきではありません。
BabyAGI とは何か?忙しい人向け TLDR
時間があまりない人向けに、要点だけをまとめると次のとおりです。
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BabyAGI は自律型の AI タスクマネージャです。
高レベルの objective(例: 「データ可視化ブログのコンテンツ戦略を立てる」)を渡すと、その objective を小さなタスクに分解してくれます。 -
タスクループとして動作します。
BabyAGI はタスクリストを作成し、GPT-4 で次のタスクを実行し、その結果を保存し、その結果に基づいてフォローアップタスクを生成・再優先順位付けします。 -
GPT-4 + LangChain + ベクトルデータベースを利用します。
GPT-4 が推論と生成を担当し、LangChain がエージェントやプロンプト構造を管理し、Pinecone のようなベクトルストアが過去の結果とコンテキストを保持します。 -
自律エージェントの実験用プレイグラウンドです。
オリジナルのスクリプトは意図的にシンプルに作られており、アイデア出しや実験を促すことを目的としていて、そのまま本番システムで使う想定ではありません。
自律エージェント(BabyAGI, Auto-GPT, AgentGPT など)の広いエコシステムに興味があるなら、BabyAGI は最初期かつ最も影響力のある例のひとつです。
BabyAGI の実行プロセス概要
BabyAGI の中核には、シンプルかつ強力なループがあります。実行プロセスは次のようにまとめられます。
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objective を定義する
ユーザーが解決したい問題、つまり objective(目標) を指定します。例:
「ニュースレターの登録者数を 1 万人に増やすにはどうすればよいか?」
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最初のタスクを作成する
objective に基づいて、システムが最初のタスクを生成し、タスクリストに追加します。例:
「ニュースレターの成長チャネルと施策のリストを作成する。」
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GPT-4 にタスクリストの拡張を依頼する
objective と 現在のタスク を含めて、OpenAI の GPT-4(多くの場合 LangChain 経由)へリクエストを送ります。
GPT-4 は、objective を前進させるための更新・拡張されたタスクリストを返します。 -
タスク結果をベクトルデータベースに保存する
タスクが実行されるたびに、BabyAGI はそのタスクの説明・結果・メタデータなどをベクトルインデックス(Pinecone や Chroma など)に保存します。これにより、後続タスクのために過去の関連結果を検索・取得できるようになります。
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新しいタスク用に関連コンテキストを取得する
次のタスクを実行する前に、BabyAGI はベクトルデータベースへクエリを投げ、最も関連性の高い過去の結果を取得します。これらは GPT-4 へのコンテキストとして渡され、より一貫性があり情報に基づいた出力の生成に役立ちます。
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新しいタスクを生成し、優先順位を付け直す
各タスク完了後、BabyAGI は次のことを行います。
- objective と最新の結果に基づいて、新しいフォローアップタスクを生成する。
- (再び GPT-4 を使って)タスクリスト全体を再優先順位付けし、インパクトの大きいタスクから順に実行されるようにする。
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停止条件
典型的なスクリプトでは、GPT-4 がもはや本当に新しいタスクを生成できなくなるまでループを続けます。よく使われる単純な停止条件は、「新しく生成されたタスクがすでにタスクリストに存在している」場合です。これは、その objective に関してエージェントが出し尽くしたことを示唆します。
この「タスク → 実行 → 保存 → 新タスク作成 → 優先順位付け → 繰り返し」というサイクルこそが、BabyAGI およびその後の多くの自律エージェントフレームワークの本質です。
環境構築
BabyAGI は Python プロジェクトとして提供されています。以下の手順はクラシックなスクリプトパターンに従っており、ローカル環境での実行を想定しています。
設定
まず、API キーやデフォルト設定を保存する環境設定ファイル(例: .env)を作成します。
# API Configuration
OPENAI_API_KEY=your_openai_api_key
PINECONE_API_KEY=your_pinecone_api_key
PINECONE_ENVIRONMENT=us-east4-gcp
# TABLE / INDEX configuration
TABLE_NAME=test-table
# Set task objective and default task
OBJECTIVE=Solve world hunger
FIRST_TASK=Develop a task listPinecone の API キーを取得するには:
- Pinecone の公式サイトにアクセスし、アカウントを作成します。
- Pinecone コンソールから API キーを作成します。
- コンソールに表示される environment / region(例:
us-east4-gcp)が、設定ファイルで指定した値と一致していることを確認します。これにより、コードが正しいデプロイメントに接続されます。
適切なリージョンを選ぶことは、レイテンシやコストの観点で重要です。特に、ワークロードやユーザーが特定の地域に偏っている場合に影響が大きくなります。
依存関係とコードの実行
次の依存関係を含む requirements.txt ファイルを作成します(これは執筆時点のオリジナル BabyAGI スクリプトに合わせたものです)。
openai==0.27.2
pinecone-client==2.2.1
python-dotenv==1.0.0依存関係のインストール:
pip install -r requirements.txt典型的なクイックスタートの流れは次のとおりです。
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リポジトリを clone する
git clone https://github.com/yoheinakajima/babyagi.git cd babyagi -
.envファイルを作成・設定する- リポジトリにサンプルがあればコピーし、なければ新規に作成します。
OPENAI_API_KEY,PINECONE_API_KEY,PINECONE_ENVIRONMENT,TABLE_NAME,OBJECTIVE,FIRST_TASKを設定します。
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依存関係をインストールする
pip install -r requirements.txt -
スクリプトを実行する
クラシックなバージョンでは、通常次のように実行します。
python babyagi.pyコンソールには次のようなログが表示されるはずです。
- 現在の objective
- 実行中のタスク
- タスクの結果
- 新たに生成されたタスクと更新されたタスクリスト
💡 Tip: まずはスコープの狭い小さな objective(例: 「個人ブログの SEO を改善する 3 ステップの計画を作る」)から始めると、エージェントが何をしているかを追いやすくなります。
リマインダー: objective や設定によっては、タスクループが長時間走り続けることがあります。各イテレーションで OpenAI API(およびベクトルデータベース)を呼び出すため、次の点には十分注意してください。
- API 使用量とコスト
- レート制限
- このスクリプトが本番運用向けに堅牢化されていない実験的なものであるという事実
まとめ
BabyAGI の設計思想は、自動化・反復・手を動かしながら学ぶこと にあります。GPT-4、LangChain、およびベクトルデータベースをシンプルなループで組み合わせることで、AI エージェントが次のようなことをどのように行えるかを示しています。
- 高レベルな objective を具体的なタスクへと落とし込む。
- 過去の作業コンテキストを再利用しながらタスクを実行する。
- 新しい情報に基づいて計画を継続的に洗練させる。
そのまま BabyAGI をミッションクリティカルな本番パイプラインに組み込むことは推奨されませんが、次の用途には非常に良い出発点となります。
- 自律エージェントの実験
- AI 駆動のワークフローやコパイロットのプロトタイピング
- タスクの計画・実行・メモリがどのように連携しうるかを理解すること
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AI エージェントが進化を続ける中で、BabyAGI のような初期フレームワークは、素朴でハックしやすい設計図として今なお有用です。自律ループがどのように構成されているかを理解し、その上により堅牢でドメイン特化したエージェントを設計するための土台として活用できます。