Skip to content
AIエージェントがJupyter Notebookをデータサイエンスの相棒に変える

Runcell: Jupyter Notebookをデータサイエンスの共同操縦者に変えるAIエージェント

Updated on

Runcell は Jupyter ネイティブな AI エージェントで、Notebook のコンテキストを読み取り、Python コードを書き、セルを実行し、エラーをデバッグし、JupyterLab、Classic Notebook、VS Code 内でエンドツーエンドのデータ分析を加速します。

毎日ほとんどの時間を Jupyter Notebook で過ごしているなら、GitHub Copilot や Cursor のような AI コーディングツールを試したことがあるはずです。これらは補完(autocomplete)には優れていますが、あくまでテキストまでです。生成されたスニペットを貼り付けてセルを実行し、エラーをデバッグし、足りないパッケージをインストールし、変数を追いかけるのは依然としてあなたの役目です。

Runcell はその次のステップに進みます。

Jupyter の中に自律的な AI エージェントを直接埋め込み、変数・セル・DataFrame・プロットといったライブな環境を読み取り、そのうえでコードの記述・実行・デバッグ・反復実行を自動で行います。プロンプトとセルの間を行き来する代わりに、ワークフロー全体がひとつながりのループになります。


Runcellとは何か?

Runcell は JupyterLab 拡張機能 + Python パッケージ(pip install runcell)で、Notebook をAI駆動の自動化環境に変えます。

スタンドアロンのチャットアシスタントとは違い、Runcell は次のことができます:

  • Notebook の状態(globals()、セルの履歴、変数)を読む
  • コードセルを挿入して実行する
  • 可視化を生成する
  • 失敗したコードをデバッグする
  • 結果を自然言語で説明する
  • Notebook の変更に応じてワークフローを再計画する

単なる補完というより、キーボードを実際に操作してくれるジュニア開発者とペアプロしているような感覚に近くなります。


4つのコアモード(デモ動画付き)

Runcell は能力を4つのモードに整理しています。以下は runcell.dev から埋め込まれている公式デモです。

🎓 インタラクティブ学習モード

実行可能なサンプル付きでアルゴリズムを解説してくれる AI 先生モードです。K-means と DBSCAN の違い、PCA、クラスタリングなどのトピックの学習に最適です。


🤖 自律エージェントモード

いわば「YOLOボタン」。

エージェントがタスクを計画し、コードを書き、セルを実行し、エラーを修正して、必要なパッケージをインストールし、ゴールに到達するまでリトライします。


✏️ Reasoning Agent

行動する前にステップバイステップで思考する高度な推論モードです。Notebook を深く解析し、信頼性の高いリファクタリング、コード改善、段階的な解法を生成します。


💬 AI強化Jupyter

コードについて質問したり、説明を求めたり、チャートを生成したり、要約を依頼したりできます — すべてが Notebook に直接挿入されます。


なぜコンテキストが重要なのか?

多くの AI アシスタントは Notebook の外側で動いています。つまり、次のような情報を知らないままコードスニペットを生成します:

  • どんな変数が存在するか
  • どのライブラリが import されているか
  • DataFrame の形状はどうなっているか
  • 以前どんなエラーが起きたか
  • どのセルがどの出力を生成したか

その結果、「コピー → ペースト → 実行 → NameError → 手動で修正」というおなじみのループに陥ります。

Runcell はコード生成の前に環境コンテキストを読み取ることでこれを解決します。
例えば次のようなことを把握できます:

  • df_sales が 100万行の pandas DataFrame である
  • matplotlib.pyplot as plt が import 済みである
  • ひとつ前のセルが seaborn のヒートマップを返している
  • カーネルが2分前に再起動した

このコンテキスト認識能力があるからこそ、Runcell はマルチステップのタスクを最後まで完遂でき、半分だけ動く骨組みコードを渡して終わり、にはなりません。

このアイデアは、Jupyter エコシステムにおける最近の Notebook Intelligence (NBI)、tool-calling、Jupyter AI magics への取り組みを背景にしており、それらをまとめて、洗練されたプラグ&プレイ体験として提供しています。


典型的なワークフロー

Runcell を使うときの流れはこんなイメージです:

1. インストール

pip install runcell
jupyter labextension enable runcell  # Lab 4 auto-detects the extension

2. 任意の Notebook を開く

Runcell のサイドバーアイコンをクリックします。

3. やりたいことを伝える:

sales.csv を読み込んで、地域ごとの前年比成長率を計算し、seaborn のヒートマップで可視化して。」

4. あとはエージェントが処理するのを眺めるだけ:

  • 新しいコードセルを作成する
  • 正しい順序で実行する
  • seaborn が無ければインストールする
  • import エラーを修正する
  • 結果を Markdown で説明する
  • あなたがセルを編集すると自動で再計画する

Jupyter から離れることなく、Notebook 全体がフルアシストされたワークフローになります。


Runcell が真価を発揮する場面

🔍 Exploratory Data Analysis(EDA)

import、クリーニング、サンプリング、プロファイリング、チャート生成を自動化します。

📊 レポーティング・ワークフロー

毎月同じロジックで新しいデータを処理するような Notebook は、自律実行にうってつけです。

🧪 教育・デモ

インタラクティブ学習モードは、抽象的なトピックをライブで調整可能なサンプルに変えてくれます。

🧩 リファクタリングとデバッグ

Reasoning Agent がバグを見つけ、関数を書き直し、散らかった Notebook をシンプルにします。

💨 ラピッドプロトタイピング

チャートを頼んだり、新しいモデルを試したり、ボイラープレートを手書きせずに反復開発できます。


環境をまたいだシームレスな統合

Runcell は次をサポートしています:

  • JupyterLab 4
  • Classic Notebook
  • VS Code Notebooks

エディタを切り替える必要はありません。新しいワークフローを覚える必要もありません。
インストールするだけで、エージェントが今の環境の中に現れます。


制約と注意点

🔐 現状はクラウドLLMが中心

Runcell はローカルモデルを設定しない限りクラウドモデルを使います。センシティブなデータセットの場合は、オフラインモードや慎重な設定が必要になることがあります。

🧠 自律性には明確なゴールが必要

Autonomous Agent モードでは、リクエストが曖昧だとトークン消費が増えることがあります。

🧬 マルチ言語Notebook

現時点では Python が最も安定しており、R / Julia サポートは実験的です。

🖥️ 重い Notebook は要約される場合あり

非常に大きな DataFrame は、コンテキストをモデルに送る前にサンプリングや要約が行われることがあります。


結論

Runcell は単なる補完ツールではありません。
Jupyter の中で、計画・コーディング・実行・デバッグ・説明までをこなすフルスタックな Notebook 自動化です。

Notebook を、手作業主体のツールから、思考・反復・リリースを加速してくれる協働型の AI ワークスペースへと変えてくれます。

Notebook を理解し、一緒に作業してくれるエージェントが欲しいなら、次を試してみてください:

pip install runcell

Jupyter のワークフローにコ・パイロットを迎え入れ、あなたのキーボードを少し休ませましょう。

Get Started → (opens in a new tab)