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Python ベクターデータベース:空間データと生成 AI のためのベストなデータベースとツール

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更新情報 (Nov 2025): 最近のスタックでは、特徴量前処理に pandas を使い、Chroma、LanceDB、pgvector/Postgres、Qdrant、Weaviate、Milvus、Elasticsearch/OpenSearch vectors などのベクトルストアを組み合わせるケースが増えています。DocArray v2 では破壊的な API 変更が行われているため、利用する場合は最新版ドキュメントを確認してください。

ベクターデータベースは、空間データを管理・操作するための強力なツールです。データの保存と検索にユニークなアプローチを提供し、Geographic Information Systems (GIS)、生成 AI、画像・動画検索、自然言語処理などの分野のアプリケーションに理想的です。本記事では、Python におけるベクターデータベースの世界を概観し、特に Jina AI の革新的なツール DocArray に焦点を当てて解説します。

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ベクターデータベースとは?

ベクターデータベースは、ベクトル空間モデルでデータを保存するタイプのデータベースです。このモデルでは、データは多次元空間内の点として表現され、各次元はデータの特徴に対応します。この空間内の点同士の距離は、コサイン類似度などの指標を用いてデータ項目間の類似度を測るために使用できます。そのため、ベクターデータベースは、画像・動画検索や、ドキュメント検索のような自然言語処理タスクなど、「類似アイテムの検索」を伴うタスクに特に有用です。

ベクターデータベースの例として、PostGIS、GeoPackage、SQLite、GeoServer、MapServer などが挙げられます。これらのデータベースは、地図のような空間データを保存・操作できるため、GIS アプリケーションでよく利用されます。しかし、ベクターデータベースは空間データに限定されるものではなく、生成 AI を含む非常に幅広いアプリケーションで利用可能です。

Python におけるベクターデータベースの仕組み

Python は、強力なデータ操作機能とベクターデータを扱うためのライブラリが豊富にあることから、ベクターデータベースを扱うための人気言語です。その 1 つが Jina AI の DocArray で、Python からベクターデータベースを操作するための高レベルなインターフェースを提供します。

DocArray を使うと、Python から簡単にベクターデータベースを作成・クエリ・操作できます。ベクトルの追加・削除・更新といった幅広いベクトル操作に対応しており、類似ベクトルを検索するためのクエリも実行できます。さらに DocArray は他の Python ライブラリともシームレスに統合できるため、既存の Python ワークフローにベクターデータベース操作を容易に組み込めます。

生成 AI におけるベクターデータベース

ベクターデータベースは、生成 AI においても多様な用途があります。Generative Adversarial Networks (GANs) などの生成モデルは、しばしば高次元のベクトル空間で動作するため、これらのモデルが扱うデータを保存・操作する基盤としてベクターデータベースが自然にフィットします。

例えば、GAN は高次元ベクトル空間上の点を画像に写像することで画像を生成します。このとき、ベクターデータベースを使ってこれらの点を保存しておけば、GAN は新しい画像を生成する際に必要な点を高速かつ効率的に取得できます。これにより、生成プロセスが大幅に高速化され、実運用で GAN を利用しやすくなります。

GAN 以外の生成 AI モデルにおいても、ベクターデータベースは活用できます。たとえば、言語モデルが利用する embedding を保存・検索するために使うことで、ある入力に類似したテキストを生成しやすくなります。

オープンソースのベクターデータベース

オープンソースのベクターデータベースは数多く存在し、アプリケーションにベクターデータベース機能を組み込みたい開発者に多くの選択肢を提供しています。代表的なオープンソースのベクターデータベースとして、Pinecone、Milvus.io、Weaviate、Vespa、Vald、GSI などが挙げられます。

たとえば Pinecone は、機械学習アプリケーション向けに設計されたベクターデータベースです。大規模なベクトル検索をサポートし、シンプルで Pythonic な API を備えているため、Python で機械学習を行う開発者にとって使いやすい選択肢です。

一方 Milvus.io は、幅広いベクトル操作をサポートする強力なオープンソースのベクターデータベースです。大規模なベクトルデータを管理・検索するための柔軟かつ効率的なソリューションを提供します。

Weaviate は、GraphQL および RESTful API ベースのリアルタイム・ベクトル検索エンジンで、機械学習モデルをスケールさせるために設計されたオープンソースソフトウェアです。Vespa、Vald、GSI もまた、それぞれ固有の機能と特長を備えた堅牢なベクターデータベースです。

これらのオープンソース・ベクターデータベースにより、開発者は用途に応じて最適なデータベースを選択できます。提供される機能や特性はさまざまなので、ニーズに最も合ったものを選ぶことが可能です。

画像・動画検索におけるベクターデータベースの利用

ベクターデータベースは、画像・動画検索のように「類似アイテムを見つける」タスクに非常に適しています。これは、データをベクトル空間モデルで保存し、その空間内の距離をデータ項目間の類似度を測るために利用できるからです。

画像検索アプリケーションを例に考えてみましょう。このアプリケーションは、データベース内の各画像の特徴を表現するベクトルをベクターデータベースに保存します。ユーザーが画像で検索を行うとき、アプリケーションは検索画像をベクトルに変換し、そのベクトルに最も類似したベクトルをベクターデータベースにクエリします。

このアプローチは、検索画像をデータベース内のすべての画像と逐一比較するような従来型の画像検索手法よりも、はるかに効率的です。ベクターデータベースを活用することで、アプリケーションは検索対象を少数の類似画像に素早く絞り込めるため、検索処理を大幅に高速化できます。

自然言語処理においてベクターデータベースを利用する利点

自然言語処理 (NLP) は、ベクターデータベースが真価を発揮するもう 1 つの領域です。NLP では、テキストデータはしばしば word embedding や transformer ベースモデルのような手法を使って高次元ベクトルとして表現されます。これらのベクトルはテキストの意味情報を捉えており、ベクトル間の距離が対応するテキスト同士の意味的な類似度を示します。

ベクターデータベースは、これらのテキストベクトルを保存し、高速な類似検索機能を提供できます。これは、クエリドキュメントに意味的に類似したドキュメントを探す「ドキュメント検索」のようなアプリケーションで特に有用です。

例えば、ドキュメントを transformer ベースモデルでベクトルに変換するドキュメント検索システムを考えます。このシステムは、変換したドキュメントベクトルをベクターデータベースに保存します。ユーザーがクエリを送信すると、システムはクエリをベクトルに変換し、そのベクトルに最も類似したドキュメントベクトルをベクターデータベースで検索します。

以下は、DocArray ライブラリを使って Python でこれを実現する簡単な例です。

from jina import Document, DocumentArray
 
# Create a DocumentArray (a vector database)
docs = DocumentArray()
 
# Add documents to the DocumentArray
for text in texts:
    doc = Document(text=text)
    docs.append(doc)
 
# Query the DocumentArray
query = Document(text="example query")
results = docs.query(query, top_k=10)

この例では、texts はデータベースに追加するテキストのリストで、"example query" は検索したいクエリテキストです。query メソッドは、クエリに最も類似した上位 10 件のドキュメントを返します。

ベクターデータベース間のパフォーマンス比較

ベクターデータベースを選定するときは、パフォーマンスを考慮することが重要です。データベースのサイズ、ベクトルの次元数、必要とする操作の種類などの要因によって、データベースごとのパフォーマンス特性は大きく異なります。

例えば、あるベクターデータベースは高次元ベクトルや大規模データベースに最適化されている一方で、別のものはより低次元ベクトルや小規模データベースに向いているかもしれません。あるデータベースはクエリ性能を重視している一方で、別のものは書き込み性能を優先している場合もあります。

以下は、DocArray と Milvus.io の 2 つのベクターデータベースのクエリ性能を比較する簡単なベンチマーク例です。

import time
from jina import Document, DocumentArray
from milvus import Milvus, DataType
 
# Create a DocumentArray and a Milvus client
docs = DocumentArray()
milvus = Milvus()
 
# Add documents to both databases
for text in texts:
    doc = Document(text=text)
    docs.append(doc)
    milvus.insert([doc.embedding])
 
# Query both databases and measure the time taken
query = Document(text="example query")
 
start = time.time()
docs_results = docs.query(query, top_k=10)
end = time.time()
docs_time = end - start
 
start = time.time()
milvus_results = milvus.search([query.embedding], top_k=10)
end = time.time()
milvus_time = end - start
 
print(f"DocArray query time: {docs_time}")
print(f"Milvus query time: {milvus_time}")

この例では、texts はデータベースに追加するテキストのリストで、"example query" は検索クエリです。スクリプトは両方のデータベースでクエリを実行するのにかかった時間を計測し、そのパフォーマンスを簡易的に比較できるようにしています。

FAQs

ベクターデータベースとは?

ベクターデータベースは、ベクトル空間モデルでデータを保存するタイプのデータベースです。このモデルでは、データは多次元空間内の点として表現され、各次元はデータの特徴に対応します。この空間内の点同士の距離は、コサイン類似度などの指標を用いてデータ項目間の類似度を測るために使用できます。そのため、ベクターデータベースは、画像・動画検索や、ドキュメント検索のような自然言語処理タスクなど、「類似アイテムの検索」を伴うタスクに特に有用です。

Python でベクターデータベースはどのように動作しますか?

Python は、強力なデータ操作機能とベクターデータを扱うためのライブラリが豊富にあることから、ベクターデータベースを扱うための人気言語です。その 1 つが Jina AI の DocArray で、Python からベクターデータベースを操作するための高レベルなインターフェースを提供します。DocArray を使うと、Python から簡単にベクターデータベースを作成・クエリ・操作できます。

自然言語処理でベクターデータベースを使う利点は何ですか?

自然言語処理 (NLP) では、テキストデータはしばしば word embedding や transformer ベースモデルのような手法を使って高次元ベクトルとして表現されます。これらのベクトルはテキストの意味情報を捉えており、ベクトル間の距離が対応するテキスト同士の意味的な類似度を示します。ベクターデータベースは、これらのテキストベクトルを保存し、高速な類似検索機能を提供できるため、ドキュメント検索のようなアプリケーションで特に有用です。